コロナ問題に付随するあれこれのために時間ができたので、「算命学的業界研究」などしています。
日頃は割と「パッと浮かんでパッと書く」みたいな書き方なのですが、本日はけっこう深くあれこれと考えたので、長くなりました‥。
字数を計測したら3500を超えており、この前文を入れたら原稿用紙10枚分くらいの量ということ。
なので、お時間のある方のみご覧くださいませ。
ちなみに、内容は経済寄りの堅めな内容なので、興味のない人は多分つまらない内容と思いますが、個人的には何か大きな蓄積になったような、そんな気づきに溢れた考察の時間でした。
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これまで主に銀行頭取などを中心に「社長になる人」というのを書いてきて、その銀行や大企業のような保守的な組織で偉くなっていく人の多くは身弱の方である(あっても天禄星)、という気づきを得たのですが、
一方、
「チャレンジングであること」が評価されるような企業の社長、
「チャレンジングな環境」にあるときに経営を任されるような社長、
というのは、天南星や天将星といった身強の人が多いように思います。
「チャレンジング」がキーワードになる社長の特徴を挙げれば、例えば以下のようなものがあります。
①現実世界を強く生きていく身強、最身強。
身弱星がまったくないか、壮年期に身強の星が巡っている。
そしてその身強星とは天南星、天将星のどちらか。
②役割意識を強く持つ牽牛星·車騎星あり。
多くは社会参加の東方だが、どこかに一つ以上の牽牛星又は車騎星。
中央が火性·水性ということもあるが、そのポジションにつく後押しになった方位には牽牛星または車騎星がある。
例えば上司の引き立てによる場合は北に牽牛星または車騎星があるなど。
③在り方が揺らがない、過剰にならない、アンバランスにならないという意味で宿命中殺なし。
平和期の安定した大企業のような、基盤が揺らがないところで社長になる人は身弱の人が多いのですが、この場合は中殺があっても安定基盤に立脚してスケールの大きなことをする宿命中殺が活きるのですが、
環境自体がチャレンジングな場所で活躍を目指す場合には、社長のほうは揺らがない(=身強、中殺なし)ことが必要であるように思います。
(このことは本稿の後半に説明しています。)
③活躍のタイミング (20代~40代)の大運で東方半会か東方支合(または両方)がめぐる。
これはどんな仕事、どんな分野、どんな生き方の人にも共通します。
何か大きなことを成し遂げるような人というのは、だいたい 20 代から 40 代で社会参加の東方において半会や支合がめぐっており、これなしに世に打ち出るのは難しいように思います。
但し、何か学問や芸術の世界など、その知恵や技巧、技術、経験の蓄積が晩年において認められるような場合はその晩年の時期に東方半会、·東方支合により活躍されるということもあります。
さて、このことの検証として観ていたのがプロ経営者 新浪剛史氏の命式です。
新浪さんは日本有数のプロ経営者として知られるサントーホールディングスの現社長。
この方は、慶応大学を卒業後、三菱商事に入社し、社内留学した先のハーパード大学にて MBA を取得。
その後ローソンの社長から同族会社であるサントリーに三願の礼をもって社長として迎えられた人です。
実際、新浪さんはそのすべてに当てはまっています。
ちなみに、似た人としてみずほ系不動産会社であるヒューリックの初代社長になられた西浦三郎さんがおられますね。
(以前、取り上げたことがあるので、気になる方は検索してみてくださいませ。)
さて、ざっと活躍を後押ししたと思われるポイントを書いていきます。
●苦労の3旬目、東方納音
この新浪さんは、恐らくは3旬に移動した大運天中殺も陽転しているのだと思いますが、3旬東方納音で様々に足止めされ、思うようにならなったことが推察されます。
しかし若年期に天南星があるような人は、こつした足止め、ある種の挫折が良い効果を生むものなので、社会人になってすぐのタイミングでこうした納音の足止め、挫折を経験したことが新浪さんという人物の土台を作ったのだろうと思います。
この東方納音のタイミングで何をしていたかについてWikipedia にその記載はほとんどありませんが、一つだけ、ハーバードでMBA をこの東方納音の最終盤に取得したようなので、多分、その時期は仕事で大きく活躍するよりも勉強したほうが良い、と感じるような環境におられたのだろうと思います。
なお、この東方納音のタイミングで同時に西方半会もめぐっています。
よって、この時期のハーバード MBA が血肉となり財産となり、その後の発展の礎になったものと思います。
●三菱商事を退職してローソンの社長へ
一般的に考えれば、三菱商事からの出向という形のまま、ローソンの社長になるというのが順当です。
資本関係があり、三菱商事からの出向者としてローソンに入った経緯からしてもそうするのが企業の論理からすれば自然だと思うのですが、そうはしなかった(できなかった?)ところに「きちんと宿命を消化」した様子が見て取れます。
『大企業のような保守的な組織で偉くなっていく人は身弱、チャレンジングなことが評価されるような企業の社長、チャレンジングな環境にあるときに経営を任されるような社長は天南星や天将星』と書いたことについて補足すると、
実業といえども大企業においてはなかなか身強のエゴの強いような人はその組織のトップまでは上り詰められないからです。
大企業のトップというのは、基本的にその「大組織の化身」であり、組織の意向に従う、己を殺して組織に身を供するような在り方が求められます。
よって、身強でエゴが強いような人の場合は、若いころこそ勢いある活躍を見せるものですが、たいていの場合は30代、40代くらいに独立して自分で会社を作る方向に向かい安いように思います。
そういう人が大組織の社長になる場合というのは、マーケット環境が厳しい時代やそういう時代にチャレンジしていくことが望まれる場合に限られ、そういう時代や環境には天南星や天将星の社長が出てきて見事に活躍されます。
その意味で、新浪さんが三菱商事の子会社であったローソンに出向した後に三菱商事をスピンアウトしてローソンの社長に就任されたのは、この天南星、天将星が効いたのだろうと思いますし、その在り方を体現したからこそ、その後の活躍、発展にも向かわれたのだろうと感じられます。
●自分で起業するのではなく既存の会社で社長になる
とはいえ、自身で起業独立するわけではなく、三菱商事の子会社(ローソン)社長、サントリーの社長…という「既存の会社の社長」という立場での活躍なのは、敬紹運たる寅卯天中殺の方であるからでしよう。
ちなみに、新浪さんの古巣である三菱商事の現社長、垣内威彦氏はやはり身弱(天庫·天 庫·天報)で車騎星2っ(中央と東方)。※大企業の社長の特徴に合致
そして特徴的なのは、生日中殺、生月中殺、生年中殺のトリプル宿命中殺の方であるということ。
冒頭のほうで、
「環境自体がチャレンジングな場所で活躍を目指す場合には、社長のほうは揺らがない(=身強、中殺なし)ことが必要であるように思います。」
と書きましたが、これを逆に言えば、
三菱商事のような盤石の基盤を持っ組織であれば、その組織を基盤として壮大なビジョンを描くことができる宿命中殺、それもトリプルでの中殺のあるような人のほうが、そのときに堅確すぎる組織を発展に導きやすいということです。
その意味で、三菱商事の社長にこうしたトリプル天中殺の方が社長になるのは納得です。
また、その垣内現三菱紙商事社長の前任である小林現会長という方は、2010年から三菱商事の社長を務められたのですが、この方は壮年期に天将星、そして単独の車騎星が東方にあります。※チャレンジングな環境で経営を任される社長の特徴に合致
三菱商事にとってのこの時期は、既存事業·ノンコア事業の整理を行い、コア事業·新規事業ヘ資金をシフトする「チヤレンジングな環境」の時代であったことが背景にその人選が行われたのだろうと推察いたしますが、この人は日座天中殺の人でもあります。
そのチヤレンジングな環境での舵取りを任されて初めての中期経営計画は2012年からの3年間における計画ですが(実質的にこの方の判断が反映し始めた経営はここから)、
ここで実に2.6兆円の投資案件を実行しています。
こうしたことを眺めるに、この小林現会長という方は、三菱商事という盤石の基盤においてその壮大で前例に縛られない日座中殺の在り方·役割を存分に生かされた方なのだろうと感じたのですがいかがでしょうか。
ちなみに現三井物産の社長も日座中殺の方ですね。
超大手総合商社が目指す世界というのは、確かに先日書いた日座中殺の世界観とー致するので、日座の方にとっては活躍しやすいということなのかもしれません。