後漢の賢才班彪(はんひょう)の王命論にある、王者勃興の必須的五要件は以下の通りといわれます。
①帝堯(中国の伝説の帝)の子孫であること
②体貌に奇異が多いこと
③神武(素晴らしい武徳)が備わっていること
④寛容で明るく人徳が備わっていること
⑤人をよく知って任用し、誠実で信用にたる人物でありながら謀を上手に使うこと
このなかで、あれ?と思うのは②ですが、
そういえば豊臣秀吉は多指症で指が6本あったといわれるので、
そういう普通の人と異なる体の特徴があるひとは、何か優れたものを持っているか、
その異なる特徴ゆえにコンプレックスをバネにして立派な人物になるということかもしれません。
算命学を学んでいる人なら、
これを知ってあの干支のことを思い出すのではないでしょうか。
私もすぐに、
身体の形態に異常が出るといわれる干支、
異常干支の辛亥のことを思い浮かべました。
長らく辛亥の「霊感がある」と書かれつつ、それと同時に「身体に異常がある」と書かれる意味がわからなかったのですが、
このこと、突出した才覚を表す、その徴(しるし)として身体の形態に人と異なるところがある「こともある」ということで、
辛亥の本質的な意味は帝王にも匹敵する才覚を持つということをいっているのではないかと思い至ったのですがどうでしょう。
ちなみに、
私の父は辛亥を2つも持っている人でしたが、確かに人並外れた仕事をいくつも成し遂げてきた人で、帝王に匹敵するかは別にして、先日父の七回忌にお越しくださった仕事関係者の方が、すでに他界して何年も経っている父について「余人をもって替えがたい人でした」と口々におっしゃってくださいました。
まだ検証は不十分ですが、この辛亥=帝王のような突出した才覚、という視点は覚えておこうと思います。
なお、この王命論のお話は、先日ちらりと引用した安岡正篤氏の『王道の研究』という本に書いてあります。
安岡正篤氏は陽明学者、儒学者と言われることもありますが、この方が説く王道はその多くが道教に拠っており、算命学を学ぶ方であれば一度は読んでおくと良いかもしれません。
古文に慣れていないと読みにくいと感じるかもしれませんが、引用し始めたら本一冊丸々転記してしまいそうなほど参考になる記述に溢れています。
細木数子さんとのあれこれはさておき、この方の御著書はとても勉強になります。