ここ数日、停電中のタワーマンションを筆頭に武蔵小杉のタワーマンションのディスられっぷりが半端ありません。
まぁこれまで「住みたい街ランキング」などで持ち上げられすぎていた感もあり、
また世の中のアンチタワマンの人にとっては格好のネタでもあるので致し方ない面はありますが、友人が住んでいたりして、色々と困っているのではないかと思うと胸が痛みます。
しかし、
これをもって資産価値が暴落するかといえば、件のマンションは武蔵小杉の中でも無類の好立地であることを考えれば多分そうはならず、
例えば少しくらい資産価値が下がったとしても、竣工時からの値上がり分を考えれば、彼らにとっては痛くも痒くもないのではないかと思います。
(今は大変だと思いますが。)
「また起きたら?」
ということを危惧して避ける人もある程度いるとは思いますが、
そのリスクが管理可能なリスクである限り、大きなダメージにはならないので、本気の買い手やプロの投資家であれば極端に下がる前に買いに来る気がします。
多くの場合、一度そうした事故があれば必ず再発防止策が講じられるので同じことは起こりませんし、
今回でいえば、地下の電気設備への浸水が原因らしいのですが、恐らくそのマンションはもちろん、他のマンションも今後は地下の電気設備を堅固に守る対応をするもの。
治水面についても川崎市がきちんと対策を講じるはずです。
また、良し悪しは別にして、
武蔵小杉では建設中のものを含めタワーマンションの建設がまだまだ予定されているので、デベロッパーも力強くこうした動きを後押しするはずで、今回のことはきちんと教訓として生かされるだろうと思います。
事例を生かさず現状を放置すれば、デベでも行政でも、訴訟のリスクを抱えます。
そもそもですが、
「タワーマンションは怖いよね」
といわれますけれど、戸建てであれば一階の天井まで浸かれば全壊(水が引いても実質的に使えない)ですが、堅固なマンションであればまぁそういう極端なことになることは稀なので、リスク許容度としてはタワーマンションのほうが実は高いです。
なお、
こういうときによく出る話として、
「だから賃貸の方が良い」という指摘があります。
それはそれでごもっともだとは思うのですが、
資産というのは不動産にせよお金にせよ、常に何らかのリスクにさらされ変動しているものなので、
(国内にいると実感しにくいものの、円預金でさえ実は常に変動しているので、現物資産である不動産の方が安定していることもあります。)
実際には、どちらのリスクが自分にとって許容しやすいかによって判断は異なります。
そのリスクが自分でコントロールできるものであり(例えば、多少の事故はあっても住み続けられて)
そのリスクがヘッジできるもので(例えば、火災保険を手厚くして)、
さらにそのリスクをヘッジしてもらえる環境にある(人口が多かったり後発開発が控えていていたりしてある程度資本投下が見込まれる環境にあるなど)
…ような場合には、
むしろ保有しておくほうが有利であることも少なくありません。
ちなみに、
昨日、「人生がスタートするスイッチ」ということについて書きましたが、
人生がスタートする前の段階にいる人は何事もゼロ100で考える傾向にあります。
例えば何千万かのローンを組んで買った家が少しでも災害に合うと人生が終わる、みたいな思考をするのですが、
こういう人は、家を買うことに消極的で、たとえ買うとしても、自分の等身大よりもずっと小さく価格の低い家を買う傾向にあります。
これは、覚悟と責任が備わっていないのでリスクを取ることに消極的で、結果としてリスクの本質を知らないことに寄ります。
知らないから「リスク=この世の終わり、100%ダメージ」みたいに考えます。
しかし実際のところ、世の中の大抵のことは偏差値のように50を平均として40〜75くらいで推移しているもの。
リスクとは変動の幅(ボラティリティ)なので、その多くは回復可能なダメージであり、そのダメージを計り受け止めて解決すること、
もっといえば、その変動を覚悟すること、
…が人生に覚悟と責任を持つ(=人生のスイッチが入る)ということでもあります。
そういう覚悟ができた人は、
等身大やさらに大きなものに向かうことができます。
これは、足場が揺れても揺るがない胆力を備えたからともいえる気がします。