金烏玉兎庵

見栄えの良い人生の歪み

Photo by 五玄土 ORIENTO on Unsplash

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学校とか会社とか配偶者とかをブランド志向で選ぶ人というのがけっこういます。

 

それはそれで結構なことなのですが、
一流の大学を出て一流の会社に入り、
結婚して、子供もできて、さらに子供もブランド志向に乗せていこうとするような生き方を間断なく続けているとどこかに歪みが生じるもので、
できるならどこかでガッツリ立ち止まるなり、緩めるなりガス抜きするなりした方が良いのではないかな、
と思うこの頃。

 

「そんなのどうでもよくない?」
と言ってみる、とか。

 

いわゆるブランド志向な生き方というのは、
言い換えれば横線(現実思考)の生き方で、そちらに偏りすぎるとどこかでポキンと折れたりします。

 

それでも、身弱の星がどこかにあれば、
ポキンと折れてもそこから更生もできるわけですが、
例えば従星が身強の星ばかりあったりすると、
力技でそうしたブランド志向の道を歩んでいけてしまいますし、
途中のシグナルも無視して突っ走り、
挫折を挫折と認めることなく逆風の坂道を全力で登り切れてしまうこともあります。

 

完遂できれば立派ではあるものの、
遊びのないそうした様子は緊張感を孕み、
ある面でから見ると「ちょっと痛々しい」ようにも見えるわけですが、当の本人はそういうことに気づくことなく頑張ってしまったりするわけです。

 

そういう生き方は片面から見れば「見上げたもの」という捉え方もできるのですが、
そのプロセスにおいて相応に「人としての器」を大きくしていくことができなければ、
頑なさが高じて癇癪持ちになったり、
理想と現実のギャップが広がりすぎたイタイ人になったりもして、
まぁ一言で言えば「面倒な人」に成り下がってしまったりします。

 

背景を見れば、
同じくブランド志向の親が過保護に育てていたり、
同じくブランド志向の配偶者などが全肯定してくれていたりと、
自分を許容してくれる環境に恵まれ過ぎていることに原因があるのですが、
そうした親や配偶者が良かれと思って施した愛情は多くの場合、
会社や世間からは「始末に負えない」人間として評価されるという、
本来目指した「ブランド的」なものの対極に行き着くという事態に帰結してしまうこともままあります。

 

…なんの話をしているかと言えば、
先日久々に会ったごく近しい身内についてそんなことを考えたので書いておくことにした次第。

 

まわりではもはや絶滅危惧種に近いこうした人も、
いわゆる「一流の大学」から「一流の会社」に入り、いわゆる「本流」を目指して歩んできたような人の中にはまだまだ多くいて、
他人事ながら、近くで見ているとハラハラします。
(他人事といいつつ「身内」の場合は、ハラハラを通り越してイライラします。)

 

ちなみに、
そんなふうに何かに拘り固執して、
突っ走ってオッケーな人というのは一気格とか完全格のような人であって、
そうでなければ歪みが生じます。

 

少々挫折するくらいならいいですが、
拘りや固執の先で、
うっかり大きな力や影響力を持っていたりすると、
厄介な事件などを起こしてしまうこともよくあります。

 

見栄やプライドはもちろん、
根性などをもって突っ走ってしまうと、
大変なことになるのでやめた方がよいでしょう。

 

「いやいや、そうしたギリギリを超えて頑張って、私は出世してきたのですよ」
という人も中にはいると思うのですが、
そんな人の子供の人生は果たして健やかでしょうか?

 

「ギリギリ頑張る」
というのは美談になりますし、
当の本人の人生の燃焼という意味では美しいのですが、
そうしてバランスを崩すことは歪みを生じ、後の世代に禍根を残すことにつながったりします。

 

多くの人は、人の人生や出来事を長期的に眺める視点を持たないので、そうしたことに気づく人は稀ですけれど、注意深く検証を重ねれば、必ずどこかに歪みが生じていることに気づくもの。

 

とはいえ、
こうした指摘に耳を傾ける人は少数で、
多くの場合、実際に問題が起こった後でしかそれを伝えることが出来ないものでもあります。

「余計なお世話」なことですし、そもそも「現代っ子」はそういう「論理的ではない」ことを尊重しません。

 

なので、事前に兆候が見え、それと分かっていたとしても伝えることは難しく、
結局のところ身内としてできることというのは、何か問題が起こったときにサポートできる体制を整えておくことくらいであったりもします。

 

このことをわが身に振り返れば、
伝える術を身に付けることが私の課題でもあり、
伝えられないということは、
まだまだ修行が足りないということでもあります。

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