昨日の続きです。
壮大な枠のないエネルギーを発揮できない環境にいると、
「去勢された男子」のようなフラストレーションにつながる、
…と書いた、あの内容、
ときに、離婚や会社を離れることなど、人生に重大な影響を及ぼす選択にもつながると書いた、あの内容は、
もう少し丁寧に説明しておかねば、誤った選択を促すことにもなりかねないため、
もう少し丁寧に説明しておこうと思います。
さて、
中殺されたエネルギーを発揮できないことによる、
「去勢された男子」のようなフラストレーションというのがどういうものか?といえば、
例えば、
名作映画『天地明察』の冒頭において、
会津藩士にして囲碁棋士の安井算哲と本因坊道策が、上覧碁(将軍の前で碁を打つ)において、
あらかじめ指示されていた打ち筋=棋譜どおりの打ち筋を外れ、
初手天元(碁盤の中央)という奇手を打ち、将軍家綱に大いに喜ばれたあの場面において、
あらかじめ指示されていた打ち筋=棋譜どおりに打っていく在り方が「去勢され男子」的な在り方、
それを外れて初手天元という奇手を打つという、己の才能を存分に生きる在り方が、中殺を発揮した生き方である、といえます。
あの映画に見るまでもなく、
世の中というのはルールや常識が遍く広がっており、
そのルールや常識、そしてその延長線上の家庭や仕事、というのがあります。
その「枠組み」の中で疑問を持たずに生きていければ良し、
しかし世の中には、生まれながらにその「枠組み」を解せず、その「枠組み」の中で生きるべきでもない人たちというのがいて、
そういう「枠組み」を持たない人たちが、
「枠組み」の中に生き得る=棋譜どおりの人生を生きる、ルールや常識に則って生きる、
…ということをしようとすると、
その本来の「枠組み」のない壮大なエネルギーが枠の中に押し込められてしまい、
それが、「去勢された男子」のようなフラストレーションを生む、というお話です。
おそらく、『天地明察』のあの場面において、
棋譜どおりに囲碁を打っていれば、
問題は起こることなく叱られることもなかったでしょうが、
将軍に喜ばれることもなければ、会津藩主保科正之の目に留まることもなく、
保科正之「半月後から日本各地で北極星の位置を確認せよ」という命令を受けることもなく、
その豊かな才能を発揮する機会をこの世界に役立てる機会を得る=中殺を消化する機会を得る
…ということもなかったであろうと思います。
けれど、安井算哲にとって、
「問題が起こることなく叱られることもない人生」って意味があるんでしょうか?
いや、枠組みの中で生きる人にとっては、
「問題が起こることなく叱られることもない人生」こそが最上である、ということもあります。
実際、お城で出世していくタイプの人は、それこそが最上であると思っているわけです。
しかし、
常識を超えた、ルールを超えた豊かな才能を持つ人にとっては、
たとえそこに安定的で経済的に苦労のない生活が拡がっていたとしても、
その才能を発揮することのない人生には、意味なんてないんじゃないかな、と思います。
人間は、すべて等しくその人生の意味と役割を持ってこの世界に生まれています。
もし、その意味に出会い、役割を得たなら、
それは、人生におけるあらゆるものを投じてでも取り組むべきもので、
その投じるべきあらゆるものとは、
「自分の人生の意味や役割に資すことのないものすべて」
であるわけですが、
もしその意味に出会い役割を得たなら、
「自分の人生の意味や役割に資すことのないものすべて」を投げ打ち、
自分の人生を純粋に生きていかねばならないのだろうと思います。
さもなくば死を。
ここでいう「死」とは、
肉体的な死のみならず、社会的な死、経済的な死、精神的な死など、形は様々ながら、
「自分の人生の意味や役割を果たすことがない人生に向かう」
という意味で、緩慢ながら確かな死を意味しています。
このことは、前に、
中殺された人が実家において親の影響を受けながら生き続けていると、
長い年月を経て、暗室に咲く向日葵のようになってしまう、
と書いた、あのことに通じています。
誤解を恐れずに書けば、
中殺がある人は、ルールや常識を超えたエネルギーを持つので、
「ルールを破る、常識を破る、枠組みを突破する」ということをすれば、
それがまるで「スタートの号砲」であるかのように、そこから人生が大きく、そして加速度的に展開していく、ということが起こります。
もちろん、その「ルールを破る、常識を破る、枠組みを突破する」というのは、
真実の才能の発揮の先にあるべきものですが、
それの「真実の才能の先の発揮」がどういうものなのかは、『天地明察』をご覧になれば、よく分かるだろうと思います。
ところで、主人公の岡田准一さんとヒロインの宮崎あおいさんは、この映画を経て結婚されましたが、
安井算哲が枠を超えてまっすぐに生きる先に宇宙の真実にたどり着くという「コトの本質」を備えたストーリーが、
宿命中殺(生月中殺)を持つ宮崎あおいさんの「離婚を踏み越えて真実の愛に向かう」ことを後押ししたのではないかな、と思います。
「真実の愛」かどうかというのは判断が分かれるでしょうが、
共にいることで自分らしい可能性に向かっていける、
制限のない可能性につき進める、
と思える相手との関係なら、それは「真実の愛」なのではないかと考えますがどうでしょう。
当時、高岡蒼佑さんとの婚姻関係の中で、宮崎あおいさんは問題の多い、制限に満ちた生活を送っていたわけですが、
その不自由な結婚の中では自分らしくいられない、自分の可能性を発揮できない、
自分の人生を自由に生きることが出来ない、
ということに気づいたのは、
岡田准一さんの存在もさることながら、
「枠を超えてまっすぐに生きる先に宇宙の真実にたどり着く」という真理に触れ、
それに触発された面もあるのではないかと思います。
まっすぐな人生、本領を発揮する人生を、美しく生きている人といると、
それが伝染して、自分もまっすぐな人生、本領を発揮する人生に向かうようになるものですが、
それは例えば、
まっすぐな人生、本領を発揮する人生を、美しく生きている人のストーリーに触れても、
同様の効果があります。
なお、それとは逆に、
人生において本来の道を歩むことなく、
それを我慢してフラストレーションを貯めている人(そういう人はよく怒ります)、
それを諦め無感覚になっている人(そういう人には「自分の意見」がありません)、
…のそばにいると、それが伝染するので気をつけましょう。
なお、安井算哲は神道家でもありました。
『天地明察』は算命学の理解にもつながるのでぜひご覧くださいませ。
Netflixにあり、私もただいま3回目を観ています笑
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