先日、易経の書籍を多数出しておられる竹村亜希子先生が、
「惜福の工夫」について書いておられました。
「惜福の工夫」とは、幸田露伴先生が『努力論』の中で勧めておられることで、
「幸いを後に残しておいたり、人に分け与えたりして、わざと“不足の部分”をつくりだしておく工夫」のことで、
そうやって“不足の部分”をつくっておくと、後々、良いこと・ありがたいことに恵まれる、
いわゆる易経のベースにある陰陽論を活用するための工夫です。
同じく陰陽論をベースにした算命学でも、
大運の初旬・二旬に大きな散法がある人は、大人になって成功しやすい、
人体星図の相剋の部分は、若いうちは苦労するけれど、大人になると評価されやすいとされますが、
実際、世の中をみませば、
若い頃に苦労をした人は、大人になって成功する、
若い頃に困難を乗り越えた人は、大人になって大成する、
…という実例は枚挙にいとまがありませんね。
とはいえ、そうと分かっていてたとしても、
世の中そうそう苦労が転がっていることばかりではないわけで、
そういう中で、確実な成功を目指すなら、
敢えて自分で「苦労」を選んで経験しに行くことが望まれます。
例えば、
「敢えて自分で苦労を選んで経験しに行く」というのも、
いわゆる「惜福の工夫」の一つといえるでしょう。
その意味でいえば、
いわゆる「盛る」というのはその逆の動きですし、
互助会的な世界で、価値がさほどなくても「褒め合う」、
いまいちなものでも「使ってあげる」、
…というのも、
長い目でみればそのビジネスの可能性を損なう動きであり、
より広い世界において活躍する、
より大きな成功を実現する、
…ということを目指すのであれば、そうした動きは避けたほうがよいといえます。
もちろん、「盛る」のは簡単ですし、
知り合い同士で「褒め合う」のも美しいのですが、
例えば、
企業内で褒められる人、評価される人、いわゆる「イエスマン」の多くは大成しない、
…というあの仕組みを思い出せば、長い目で見ればそれがいかに発展性を損なうかが分かるだろうと思います。
ちなみに、
石門星というのは協調性、社交性の星で「みんなにいい顔」をすることの結果、
「盛る」ことに乗っかってあげたりしますが、
構造としては日干と同質五行の十干との組み合わせなのね、その心は「対等」であり、
対等であるということは、その「盛る」ことに乗っかってあげたなら、当然の権利としてその見返りを求めます。
だからこそらこの星は「政治家の星」でもあるのです。
また、禄存星というのは、愛情・奉仕の星で「みんなに親切」な星ですが、
こちらも「盛る」ことに乗っかってあげる星です。
けれど、その裏側には「自分のことを好きになってもらう」という下心があり、それが実現しない相手であれば乗っかってあげたりはしませんね。
自分が話を「盛る」ということをして、それに乗っかってくれる人にどんな意図があるかに気づけば、「盛る」ことなどしなくなるかな？と思いますがどうでしょう。
来（きた）る年に向けて、ぜひ「惜福の工夫」について考えてみることをお勧めいたします。
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