緊迫する日韓関係を眺めつつ、
そういえば、国家論では、
経済確立期そして庶民台頭期において国は戦争に向かいやすい、
ということを思い出しました。
経済が活性化し、
庶民が元気になるのになぜ戦争?
と、思われるかもしれませんが、
戦争というのは本来、経済的に満たされ、国が元気なときに起こるものです。
国が貧困にあえいでいるときは、とてもそんな余裕はないので戦争は起こりません。
経済的にある程度満たされ、
庶民が元気になってくると、
そんな庶民を煽るマスコミや政治家が一緒になって戦争に突き進み始めます。
さらにいえば、多くの場合、
「戦争は儲かる」という面もあります。
少なくとも、物資や武器の需要は大きく高まり、経済は活性化する、
歴史を振り返ると、そんな構図が明確に見て取れます。
先日、
日本国憲法の施行日を起算とする国家論について書きましたが、
大日本帝国憲法の施行日を起算とする場合は以下のような年表になります。
1890年 憲法施行、動乱期
1900年 教育期
1910年 経済確立期
1920年 庶民台頭期
1930年 権力期
1940年 動乱期
(1945年憲法改正)
1904年、教育期においてその後の日本の軍国主義的傾向を方向付けた日露戦争が起こり、国の価値観が一変します。
1910年からの経済確立期には日本の重化学工業が大きく発展し、都市経済も大きな進化を遂げた時期ですが、まさにその時期に第一次世界大戦がありました。
(経済確立期は大企業が発展する時期ですが、財閥が拡大し、資本の独占が進み、また、都市に人が集中したのもこの時期です。)
1920年からの庶民台頭期は、明確な戦争こそありませんが、社会的な世相はどんどん軍国主義的に傾いていきました。
元気な庶民に迎合する政治家が政治を牛耳り、まともなことが言えない社会的な空気が蔓延していきました。アメリカにおいて日本人移民が排斥されたのもこの頃です。
そして1930年の権力期は、それまでの庶民による好戦的な声に後押しされる形で、満州事変が起こり、国家総動員法、そして第二次世界大戦へと向かいました。
こうした捉え方の真偽、
あるいはこうした戦争の意味や良し悪しはさておき(立場や効果において、考え方はいろいろありますが)、
経済確立期には戦争の萌芽がうまれ、
庶民台頭期には大衆が戦争を後押しする、
そのように時代が動く可能性がある、
そうした捉え方がある、ということを認識しておくことは無駄にはならないだろうと思います。
もしかすると、
憲法改正の動きを、
最近の日韓情勢にまつわるニュースとそれに反応した大衆が後押しする、
ということもあるのかもしれません。