越年での東京五輪開催に寄せて

陰陽、というときの陰と陽というのは、

陰が肉体、陽が精神、
あるいは陰が暗く、陽が明るい、
あるいは陰が小さく、陽が大きい、
…など様々な分類の方法がありますが、

例えば、
陰は私、陽は公、という分け方もあります。

これはつまり、
命式において陰干支に偏った人の場合、
仕事にせよプライベートにせよ、
何かにつけて私的な方向、私的な利益に向かう傾向がある一方、

命式において陽干支に偏った人の場合、
仕事にせよプライベートにせよ、
何かにつけて公的な方向、公的な利益に向かう傾向となって現れる、ということもできるのだろうと思います。

さらに言い方を変えれば、
陽は器量が大きく、
陰は器量が小さい、という分類されることもあります。

これは器量が大きい方が良いとか、器量が小さいのは良くないということがいえるものではないことはいうまでもなく、

器量が大きくても大きすぎては、まるで実現できない絵空事にかまけてしまう、
ということになりがちである一方、

器量が小さくて、大いに器量が小さすぎるような人であっても、
着実に、堅実に、抜かりなく現実を積み重ねていく先において大きなコトを成すことができる、
ということもあるわけで、

一概に大が良く、小が良いとは言えないわけです。

さて、易に『雷山小過』という卦があります。

これは、「小が過ぎる」卦、
つまり「陽よりも陰が多すぎる」という卦であるのですが、

この雷山小過を時代、ということでいえば、
器量の小さい人物が、器量の大きい人物よりも多い時代、ということができます。

器量の小さい人物がたくさんいる時代、というと、
いかにもスケールが小さくつまらない時代のように感じられがちですけれど、

スケールが大きい人の大きな失敗が起こるよりは、
小さなスケールながら小さな失敗を繰り返して、ほどほどに安定した時代のほうが過ごしやすいという面もあるわけで、

つまるところ、「どちらが良い」とうよりは、

器量の小さなスケールの小さい人が多い時代にはそれに応じた戦略を、
器量の大きなスケールの大きい人が多い時代にはそれに応じた戦略を、
吟味して採用していくのが良いですよ、というお話です。

さて、今年は辛丑の年、陰干支の年です。

通常はオリンピックというのは、
スケールの大きなスポーツの祭典、
私的なことよりも公的なものにみんなで向かうイベントなので、
陽干支の年に行われます。

けれど、昨年の庚子、陽干支の年に開催されるはずであった東京五輪がずれ込んで、
この陰干支の年に開催されることになったわけですが、

だとすれば、
スケールの大きな、公的なビジョンを目指すイベントから、
スケールの小さな、私的な事情を汲みつつのイベントになったとしても致し方なく、

それに応じた取り組み方、楽しみ方をするべきなのだろうと思います。

首都圏は無観客で開催されるとあっては、
「大きなビジョン」でもって「スケール大きく」という方向には向きづらく、
これも、陰干支の年に行われるなら致し方ないわけで、

とはいえ、
小さなスケールには小さなスケールなりの戦略とやり方があるはずで、
経済効果、というのも、大きなスケールでは難しくても、
小さなスケールだからこそできることもあるはず。

それがいったいなんなのか?
既に直前になりしたけれど、
私もちょっと考えてみようと思います。

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