夏休みの課題図書と「理解」と「体験」の相関関係

夏休みの課題図書、
というのがいまだにあるのかどうか知りませんが、

私が子供の頃に、大人にプレゼントしてもらった本として、
覚えているのは以下の3冊。

『アルジャーノンに花束を』
『モモ』
『トムは真夜中の庭で』

いずれも、名作中の名作といわれる本ですが、
子供の頃はぴんと来ず、きちんと読まなかったのですが、
その後、大人になってその素晴らしさを知った本でした。

名作といわれる本も、それを選ぶのは大人で、
子供の頃にはその本質を理解することが難しい、ということはよくあるように思います。

実際、上記の本はいずれも、子供の生活時間や知性では、その全容を理解することが難しく、
恐らくは、30代、40代くらいになってその良さ、その意味するところの本質を理解できる内容であり、
たぶん、弟の子供(中学一年生と小学二年生)にプレゼントしても、
きっと本棚の肥やしになるでしょう…泣

物事の理解の深さ、というのは、
人生を生きるときの「深さ」に比例しているのだろうと思います。

人生を生きるにあたり、どれだけ「自分の本当の気持ち」に正直に生きているかのその本気度とか、
何かの壁にぶつかったときに、その壁に「対峙し乗り越える」ということに向かうときのその本気度とか、
誰かと競り合ったときに、その「勝ちにこだわる」ということに執着するときのその本気度とか、

そういう本気で何かに取り組んだ、
勝ち負けに拘わらず、喜びか苦しみかを問わず、
その感情の深さの絶対値のようなものが、

物事の理解の深さに比例しているのだろう、というお話です。

算命学は、30代よりも若い人には理解が難しいといわれますが、
これは、感情の絶対値、理解の絶対値が浅いからだろうと思います。

只今noteでは学理として、ひたすら一極二元、ということについて説いているのですが、
陰占にせよ陽占にせよ、算命学というのは常に一極二元の視点・思考を必要とするもので、

その二元の幅をより広く深く捉えることができるほどに、
つまりは起こり得る幅、可変的な現象の両極を広く捉えることができるほどに、
コトの本質に近づくことができます。

これを別の言い方でいえば、
算命学に興味を持った初心者の方は自分の星だけをハシゴしてせっせと調べる、ということをするのですが、
自分の星だけを50くらいのサイトで調べたその理解よりも、

一つ、二つのサイトで、すべての星を調べたうえで自分の星を捉える人のほうが、
深く本質的な理解を得て、適切な処世術に辿り着く、ということでもあります。

算命学に限らず、社会・組織で働くにしても、

感情や経験の深さ、
モノを眺める視野の広さ、高さ、
といったものの絶対値が大きいほど、
適切に自分を捉え、的確に世界における自分の身の処し方を知ることができるもの。

ラクな道、日の当たる道、なだらかにして穏やかな道、そして自分の道…だけを歩んでいては、
決して見えない世界、景色というのがあります。

西洋的な、直線的、平面的思考の先では、
壁にぶつかればおしまいで、沼にハマれば沼の主になるしかない、というような理解となるわけですが、

東洋的な、一極二元の思考においては、
壁にぶつかり、壁を超える、沼にハマり、沼から抜け出す、という幅でもって物事を理解します。

Aを目指すなら、Aだけを目指していく先にあるのは理解の半分であり、
本質を理解するには、AとAではないものの両方を経験しなければ、本質は分からない、というのが東洋的な考えです。

なお、こうした思考のプロセスがちょっとよく分からないな、という方は、
鈴木大拙先生の『禅学への道』という本をおすすめします。

この本は、算命学の本ではないですが、
東洋的な思考の何たるかを知るのにはたいへん役に立ちます。

鈴木大拙先生をご存じない方もいるかもしれませんが、
欧米の禅ブームはこの方によるもので、
海外の方が読む禅の本は、たいていこの方の本だそうです。

日本古代史にかかるご著書も多い梅原猛先生はこの方をして「近代日本最大の仏教学者」とおっしゃっておられます。

『禅学への道』は大拙先生が英語で書かれたものを格調高い日本語に訳された本で、読んでいて心地よいです。
また、比較的易しめでありながら、本質を説いており、繰り返し読みたい本。

夏休みにいかがでしょうか。

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