「ティール組織」
というのをご存じでしょうか?
集団・組織の運営の進化のプロセスのステップを、
レッド→琥珀→オレンジ→グリーン→ティールの五段階で特徴づけた中の
頂点にあるのが「ティール組織」ですが、
この集団・組織の運営のプロセス全体の考え方をもって「ティール組織」といわれることもあります。
さて、この集団を動かすアプローチの進化のプロセスは以下の五段階。
第一ステップ=レッドは、
本能的な組織運営、生まれ持つ力量を個人が発揮することで集団を動かしていくアプローチ、
第二ステップ=琥珀は、
権力に基づく組織運営、生まれた血筋、生まれた環境においてクラス(階層)分けされ、
そのクラス(階級)でもって集団を動かしていくアプローチ、
第三ステップ=オレンジは、
先天的・固定的なクラス(階層)ではなく、個人の能力・力量によって変動しうる、選択的なクラス(階層)によって集団を動かしていくアプローチ、
第四ステップ=グリーンは、
クラス(階層)間を隔てるものが緩くなり、個人の能力・力量を、階層縦断的に発揮しながら集団を動かしていくアプローチ、
第五ステップ=ティール組織は、
個人の能力力量の発揮と、個人の集まりによって形成される組織・集団が自律的・持続的に成長・機能していくことで集団が動いていく(動かすのではなく、集団自体が自律的に動いていく)というアプローチで、
集団というのは、この5段階で進化していく、
というのが『ティール組織』という本を書いたフレデリック・ラルー氏の主張です。
さて、この本、いわゆる「意識高い系のビジネスパーソン」にはたいへんな人気で、
私もいちおう「知っておく」ということのために読んだのですが、
多分、東洋思想を学んでいる方であれば、
なんとも西洋合理主義的な、浅薄な理論だな、と思われるのではないかと思います。
というのも、
そもそも集団が「進化する」「進化できる」という考え方自体に無理があり、
並べられるとなるほど、と思いますが、
実際の集団の動き、多様な組織を見てきたような人であれば、
これがいかにも「机上の空論」であることに気づかれるはずだからです。
そもそもの話をすれば、
人間が命式にその性質が刻まれているということは、
あたかも、
杉の木からは杉の木しか育たない、
桃の木には桃の実しか生らない、
パンジーの種からはパンジーの花しか咲かない、
…というのに似て、
人間にはそれぞれ生来の、固有の性質、能力、才能があり、
自分の思いや都合で「変化することなどできない」ということを意味しており、
その延長線上においては、
組織・集団の性質というのも、それぞれ発展に向く集団固有の性質、発展の仕方がある、
ということを意味しています。
つまり、人間が大上段に構えて「組織の進化」などといってみたところで、
それぞれの集団に合わない性質を押し付ければ、
人間が本来の宿命とは異なる生き方に向かった先に淘汰されるのと同様に、
その合わない在り方を押し付けられた組織・集団も崩壊することになるわけです。
本来は、
人間にせよ、集団にせよ、
変化などできない、という前提で、
それぞれの個性や性質を活かす方法を考える、ということが必要で、
優先すべきは、その組織の個性や性質を知る、というところにあり、
それをいかに活かすか?を考えることが大事であるように思います。
なお、日頃、時代論について書いていますが、
時代に応じてどの段階のアプローチに向くか、というのはざっくりあります。
1980年前後の時期の王道は第一ステップ的なアプローチ、
1990年前後の時期の王道は第二ステップ的なアプローチ、
2000年前後の時期の王道は第三ステップ的なアプローチ、
2010年前後の時期の王道は第四ステップ的なアプローチ、
そして現在、2020年前後の時期の王道は第五ステップ的なアプローチです。
そしておそらく、2030年前後の時期には、再び、第一ステップ的なアプローチの時代になるだろうと推察しています。
この時代に、
レッドの「本能的な組織運営、生まれ持つ力量を個人が発揮することで集団を動かしていくアプローチ」ですか?
…と驚かれる方もいるかもしれませんが、
既に激しく二極化が進み、「集団」という考え方が破綻に向かっていることは肌で感じられるところと思いますがいかがでしょうか?
なお、「人間は変化しない」ということの意味は、
人間というのは、本来の性質を研ぎ澄ませる方向にのみ進化できるということであり、
これは、「自分の性質が評価される時代」を選んで社会・世間に出て行くべきである、
という考え方につながっています。
こうしたことを知ってくことで、
無駄なところで頑張らず、ここぞというとこで頑張れる、
という省エネな生き方が可能となります。
人間のエネルギーは無尽蔵にあるわけではないので、
きちんと時代と環境を選ぶことが大事です。
なお、「時代を選ぶ」というときには、場合により十年スパンで「待つ」ということが必要なこともあります。
十年待つには時代の正しい認識と確固たる信念が必要ですが、
それを支えるのが算命学の知識であるといえます。
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