先日、今年社会人になります、という方から、就職についての相談をいただきました。
この時期に就職の相談?
…と思われそうですが、なんでも、
いわゆる「就職偏差値」でいうところの75以上くらいありそうな超大手・優良・ホワイト企業に就職するか、起業するか?
…という相談で、
親も大学の就職部も、全力でその就職を勧めてくる中で、
自分としては起業したいのだが、というお話でした。
なんとなく、
私が学生の頃の感覚でいえば、
あるいは、単に社会人としての経験のみによって答えるなら、
迷うまでもなく、そのピカピカの就職を全力でお勧めするところですが、
その方の人体星図に車騎星・牽牛星がなく、
さらに大運でもその星がめぐるのは晩年期となると、
果たして、その超大手企業に入ることがその方にとってマルなのかどうか、
算命学を学んでいる者としてはちょっと回答に窮した、
…というのが正直なところ。
車騎星・牽牛星がまるでないということは、
いわゆる八門法において西方のエネルギーがないということなので、
上司の指示のままに働くとか、
組織のルールによって動かされるとかいうことには、
たいへんなストレスが伴うことになります。
最近の大きな会社でホワイトな会社は、
割と「個人の性質に応じた環境」や「個人の性質の発揮」ということに、
前向きに取り組むようになった感じはありますけれど、
だからといって、
それをもって、西方のエネルギーのない方が、
組織集団の中で、
上司の管理下の元、組織のルールという枠組みの中で、
健やかに、本来の性質を発揮できるかといえば、そうではないように思っています。
貫索星・石門星は、信念に悖ることは出来難く、
鳳閣星・調舒星のエネルギーは、特に義務感を嫌います。
禄存星・司禄星は、その組織・集団の中で自分の立ち位置を見つけられれば、
それでもうまく身を処すことができそうですが、
それまでには多少時間がかかります。
龍高星・玉堂星でえれば、うまく上司を受け入れて、その引き立てで組織に馴染むことはできるかもしれませんが、
上司の引き立てがなくなるにつれ、
つまり上に行けば行くほどに、悩みが多くなるように思います。
言い換えれば、
組織・集団で働くことに合うのは、
組織の正義に駆り立てられて大いに働く車騎星や、
組織から役割を与えられて喜び働く牽牛星であり、
これらの星と相剋になる、
つまり、
金剋木と相剋になる貫索星・石門星や、
火剋金と相剋になる鳳閣星・調舒星は、
組織・集団に身を置くには葛藤が多く工夫が必要であり、
土生金と相生になる禄存星・司禄星や、
金生水と相生になる龍高星・玉堂星は、
組織・集団に身を置くことも出来やすい、ということになります。
さて、では貫索星・石門星、鳳閣星・調舒星ばかりの人は、
組織・集団に身を置く働き方、
つまりサラリーマンは合わないのか?といえば、
長い目で見ればそうかもしれませんけれど、
人生の若い時期において、
そういう「合わないこと」をすることもまた、
必要であろうと考えます。
人間というのは、苦労や葛藤なくして育ってしまうと、
どうしても「ロクデナシ」になるもの。
こうしたことは、20代、30代では「机上の空論」のように思う方が多いですが、
40歳を過ぎると、途端にその意味がずしんと腹落ちして理解できるようになります。
具体的に言えば、
20代、30代の頃にはキラキラと魅力的に見えていた人たちが、
40代になった途端に、薄っぺらく軽薄な人物に見えるようになる、
そのように「周囲から扱われている」ことに気づく…というか。
本当に、面白い位に、
「40歳」を境に、若い頃に苦労した人と、経るべき苦労の経験がない人の差が、
くっきりはっきり見えてきます。
40歳というのは東方大半会のタイミングですが、
もしかすると、
それまで人生を盛りまくっていた人は、大半会によって大きく落ちていく一方で、
それまで人生で苦汁をなめまくっていた人は、大半会によって大きく伸びていく、
…ということではないかな?
と、思っていますがどうでしょうか。
さて、結局、その方にどうお答えしたかといえば、
3年間、修行と思って働いてみることを提案しました。
これは、身強・身弱・エネルギー値、大運・年運・天中殺など、
様々な要素を加味したうえでの判断なので、
すべての方にとってこういう選択が正しいわけではないことにご留意いただきたいのですが、
よほど機運がめぐっているのでなければ、「一度就職してみる」というのは、学校に行くような意味で良い経験になるように思います。
宿命(原命式・星図)に応じた生き方といのは健やかなものですが、
後天運や人間としての練磨という観点でいえば、
そうではない生き方を経ることが有効な人・時期もあり、
何かを判断するときには、そういう全体観をもって考える必要があります。
※宿命と必ずしも一致しない選択を提案するときには、きちんと「一致する選択と一致しない選択」の両方の説明をするのとが必要です。
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