『オデュッセイア』とは、
『イリアス』とともに、古代ギリシアの詩人ホメロスが書いたとされる世界最古の長編叙事詩です。
この本は、トロイア戦争に勝利した英雄オデュッセウスが、
故郷に帰りつくまでに10年もの月日を要したことが描かれているのですが、
その様子を見るに、
勝利し頂点を極めることには因縁が伴うこと、
避けがたく周囲の抵抗に遭うものであること、
そして勝利を手にした後にそれを味わい維持するには、
人徳と共に厳格さが必要で、
そういう人間としての成長が実現して初めて、
その勝利を味わい維持することができるのだということがよく分かります。
あるいは、
戦勝後、帰郷の際に、神々への祭祀を怠ったために様々な障害や妨害が起こったことなども描かれているのですが、
そういう様子も、なんとなく日本の神話に通じる感じがあって、
なるほど、と納得しながら読み進めることが出来ます。
さて、なぜこの話をここで書いているのかといえば、
その『オデュッセイア』に描かれた、
戦勝後から始まるオデュッセウスの苦難とそれを克服する物語、
そして最終的な完全勝利のためには、慎重さと非情さもまた必要であったというその物語が、
天将星の陽転に必要とされる学びとプロセスというのは、
こういうことなのだろうと感じられたからです。
恐らく、何かを達成する、それだけであれば、
天将星でなくてもできるわけですが、
何かを実現したことによる因縁に対峙し、
避けがたい周囲の抵抗を踏み越え、
その実現を本質的な意味で自分のものとして維持するために、
慎重さと非情さをもって物事を断行する、
そういうことができるのは、陽転した天将星であり、
わずか5％とも、それ以下ともいわれる天将星の陽転に必要なプロセスのヒントが、
その『オデュッセイア』にあるのではないか、と感じた次第。
ちなみに、現代の感覚でいえば、
最終的に、敵を悉く討ち果たし、裏切り者を絞首刑にするような非情さなどは、
とんでもないと感じる人もいると思いますが、
利権・利害が絡むような局面においては現代でもそれに近いことは普通に展開されているわけで、
有形の世界の頂点に立つべき天将星であれば、そういう非情さというのも備えなければならないように思います。
そうした非情さというのは、
自分自身がその非情さを発揮せずに甘さを見せたためにやられた経験などを経なければ発揮されないものですが、
天将星が「人並み以上の苦労を要する」といわれるのは、
そういう非情さを身に着けるため、という面もあるのではないか、と考えましたがどうでしょう。
2022年4月二週目公開分🌸
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