精神の柱を立てる

ちょっとセンシティブなことを書きます。
とくに、思想の表明というわけではなく、「ものの仕組み」についてのお話です。

さて、『無常ということ』において、
「鴎外が考証家に堕したという様な説は取るに足りぬ」と書いた小林秀雄先生は、

その晩年において歴史を振り返ることに向かい、 日本国学の祖である本居宣長に行きついたのですが、

その意味するところというのは、

日本人が本質的な意味でこの日本に存在することは、

自らが拠って立つ日本という国の歴史、
過去から現在に続きそして未来に連なっていくこの国の思想、
そして、
この国で生きた人たちを支えたその国家の成り立ち、

…というものを捉えることなしには成らない、
という理解なのだろうと思います。

自分が立つこの国、この世界の歴史を知ることは、
自分が立つこの国、この世界に精神の柱を立てることを意味し、
その精神の柱が立つことによって自分自身が揺ぎ無くなる。

その精神の柱を立てることで､
自分自身が、「循環する時間」という歴史の一部であることを自覚でき、
その自覚が、他者や世界に対峙するときの 「自身の揺ぎ無さ」につながり、

「この国において有意の存在感を備える」
あるいは、
「国家を支える一員としての役割を果たす」
…ということができるのは、
そういう「揺ぎ無さ」を備えた人物なのではないか。

いわゆる算命学において精神を表す「天干」というのは、
行動を表す地支とセットでこの有形の世界に存在しうるわけですが、
天中殺中はその天干が欠けるために、行動の結果であるモノゴトは「虚｣になるといわれます。

だとすれば、
自分の拠り所（今回で言えば日本という国）に精神の柱を立てない在り方というのは、
　
その天中殺中の「虚」みたいなものなんじゃないかな、
…と、思ったのですがどうでしょう。

自民党の安倍元首相が銃撃されたそうです。
命が助かりますよう心より祈念しております。

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