正負の話、フラストレーションは手懐けるべし

ワタナベ薫さんが、
「何の努力もしないで良いことが起こると、その分“負”がきます」
…ということを書いておられました。

例えば、何もしないのに臨時収入があったりすると、
その分、どこかで損をすることになる…というようなお話です。

さて、それを読んでハタと思い当たったのが、
少し前に、30万円くらい“損”をしたときのこと。

その“損”というのは、多少、理不尽だな、と思うような“損”だったのですが、
文句をいえる相手でも状況でもなかったので、
笑顔でその“損”を受け入れたのですが、
それからほどなくして、30万円の2倍と少し、70万円くらいの臨時収入があって、

これはそのワタナベさんの書かれていたのの逆バージョン、
つまり「何も悪いことをしていないのに悪いことが起こると、その分“得”がきます」
…ということなんだろうな、と思った次第。

物事には、常に陰陽・正負が働いています。
これはお金に関することだけでなく、評価・評判などにも同様のことがいえて、

例えば、
強引に自分が損をしないように「得」ばかりを手にし続けていると、どこかで大きな損がやってくるのと同様に、
無理筋なマーケティングなどで評価・評判を盛ってばかりいると、どこかで大きな悪評に転じることになったりするもの。

実際、仕事にせよ、家族のことにせよ、うまくいっている人をよくよく見ていると、
敢えてお金を切る、謙遜する、ということを意識的に実践しておられますね。

逆に、話を盛ってばかりいる人や、絶対損をしたくない!みたいな人は、
少し長いスパンで眺めると、けっこう大きな落とし穴にはまったりするもので、
つくづく、定期的に損をすること、意識的に評価・評判を前借りしないように気をつけること…の、大切さを感じます。

現代の、SNS全盛の時代では、「盛ることこそが正義」「言ったもん勝ち!」みたいな風潮がありますけれど、
安定的かつ継続的に発展しようと思うなら、
まわりには、「実力の5割~6割くらい」で評価されているくらいがちょうどよく、

100%で勝負などすると、どこかで転ぶものですし、
うっかり実力の50%を盛って語ったりすれば、その先において100%を超える損を被ったりします。

もちろん、「転ぶ」ことで学べることや、
「100%の損」によって、スケールが拡がることもあるので、
それ自体が無駄になるモノではないですが、
安定的かつ継続的な発展を実現しようと思うなら、「実力の5割~6割くらい」でやっていくのがいいですよ、ということです。

「実力の5割~6割くらい」で勝負していると、
自分の中には常にある種のフラストレーションが潜在することになります。
「もっとできるのに」とか「本当はもっと実力があるのに」…みたいなことを腹に抱え続けることになるのですが、

そういうフラストレーションがエネルギーとなって飛躍につながるわけで、
フラストレーションは嫌うものではなく、手懐けるべきものです。

逆に、自分の実力の50%増し、100%増しなどで盛って語ったりすると、
自分の満足は最高潮どころか、それを超えてしまって、
その実力もないのに、油断してしまう…みたいなことにもなります。

そういえば、
ある大企業では、「しゃべり過ぎると昇進できない」という暗黙のルールがあるそうです。

なぜしゃべり過ぎてはいけないのか?というと、
上司に対してであれ、部下に対してであれ、取引先に対してであれ、
「黙っている」ことにはフラストレーションがたまるわけですが、
それが胆力を鍛え、本当に大切な時の一撃の実現につながるからなのだそう。

これも、仕組みとしては同じですね。

…と書きつつ、実は、若い頃、30代くらいまでは「そんなことないでしょう」と、思っていました笑

ワタナベさんも、若い頃は「そんなことはない!」と信じなかっただろう…と書いておられますが、
因果がまだあまり良く見えないくらいの年齢の方は、たぶん真に受けないんじゃないかな?…と思うのですけれど、

ある程度長いスパンで観察していると、それが真実だと気づきます。
だいたい、それが「真実」だと気づくのは、「イタイ経験」をしたときなので、

気付いていない人に一生懸命説いても、だいたいは真面目に受け止めてもらえないのですが、
ちょっとタイムリーだったので、書いておきます。

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