繰り返し眺め解像度を上げていくことの大切さ

本日は、川村美術館に行ってまいりました。

先日の『ピカソとその時代』でぐるぐるとしていた頭が「答え」を欲していて、
その「答え」に出会える気がして行ってきたのが川村美術館だったのでした。

もともと、川村美術館は常設作品の質がとても高く、
それだけでも観るに足る美術館なのですが、
只今現在、開催中の『マン・レイのオブジェ 日々是好物|いとしきものたち』がまた素晴らしく、
常設作品と企画展作品を通して観ましたが、
時代の連続性も相まって、眩暈がするほど素晴らしい内容でした。

川村美術館は、私のお気に入りの美術館で、
もうここ10年くらい、一年に一度以上は足を運んでいるのですが、
一つの美術館の常設作品を、時間を空けながら繰り返し観ることは、
少しずつ、作品の細部に気づくことにつながり、
回数を重ねるにつれ、奥深く理解することにつながるのだな、ということを感じました。

マーク・ロスコのシーグラム壁画や
マルセル・デュシャンとリチャードハミルトンのガラスの共作、
アド・ラインハートの真っ黒な正方形の抽象絵画、
エルズワース・ケリーの連作などは、

初めて観たときには、あまりに抽象的過ぎてさっぱり分からなかったのが、
回を重ねるごとに、その細部に目が届くようになり、その面白さにはまっています。

そういえば、アンディ・ウォーホルのスクリーンプリント作品の色違いの連作は、
当初、ポップアートに興味がなくて素通りしていたのですが、

最近は「人生が螺旋のように繰り返される、そのバージョンチェンジを現わしているのかも」…と感じたりして、
実際の意図は分かりませんが、作品を観ながら感じる自分の思考を眺めつつ、
自分の世界の捉え方を知っていく感じがあります。

算命学の命式というのも、
初見で観たときに捉えた輪郭が、
回を重ねるごとに細部に気づくのに比例して解像度を増していくものですが、

芸術作品も同じ、
そして多分、それ以外のあらゆる要素も、そうやって何度も繰り返し捉えていくことで解像度を増していく…というのが「真理」なんだろうな、と、そんなことを考えました。

そしてそう考えると、
同じ作品を繰り返し観る、ということは、
占術の基本である「天にあるものは地にある」という、
フラクタル構造を捉える視点を養うことにつながるように感じたのですがどうでしょう。

もっとも、そうやって「繰り返し観る」ことに耐え得ない作品などにかかずらってしまえば、
それは人生の浪費にしかならないわけですが。

ちなみに、これは「人間関係」にも同じことがいえます。

同じ人と色んなことを繰り返し共に経験し、語り合っていくことで、
その人の多様にして多彩な資質に気づいていく、
そうやって解像度が上がった人物というのは唯一無二の存在感を備えるものですが、
中には、そういう「繰り返し」に耐え得ない人というのもおられます。

自分の人生を豊かに、そして堅固にしていくのは、
芸術作品にせよ、人間関係にせよ、「繰り返しの観察」により味わいを増していく存在である、
…という理解は重要です。

より、算命学的に言うなら、

繰り返しに耐え得る人というのは、命式を体現している人=宿命を消化している人、
繰り返しに耐え得ない人というのは、命式から外れている人=宿命を逸れている人、
…といえ、

自分の環境を造り込むときには=命式の環境を備えていくときには、
繰り返しに耐え得る人=命式を体現している人=宿命を消化している人、
…を選んでいく必要があるのだということです。

例えば、マン・レイは、フランスの詩人だった最初の妻からフランス文学の手ほどきを受けており、
それが作品の豊かさにつながっているのですが、
何かを成そうとするなら、そういう「確固とした何か」を体現している存在で環境を構成することが必要であろうというお話です。

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