「イーロン・マスクになれますか？」という質問への答え

このところ、イーロン・マスク氏についていろいろ調べていて、
ふと思い出したのですが、

いわゆる「起業家」みたいな人のご相談を受けると、
ときどき「僕もイーロン・マスクになれますか？」…みたいな質問をされることがあります。

つまり、世界長者番付トップになれますか？
…という質問なのですが、

これについて、どこまで本気で質問されているのか分かりませんが、
一つ質問をして、その答えを聞いて「無理ですね」というと、
多少がっかりしたような顔をされる…
人間、本気でなくても「無理」といわれると多少、がっかりするもののようです。

さて、その質問とは何かといえば、
「人生において最も困難だった経験は何ですか？」という質問です。

人間の人生というのは、常に波動を形成しているので、
困難な経験を経ていないような人は伸びることがありません。
一方、子供の頃に赤貧であったような、
圧倒的な困難を経験しているような人は、世界長者番付に載るようなお金持ちになれる可能性があります。

実際、イーロン・マスク氏に限らず、日本トップの歌姫であった安室奈美恵さんは子供の頃に赤貧を経験しておられます。
あるいは日本における資産日本一だったキーエンスの滝崎 武光氏は二度の倒産を経てキーエンスを築き上げ資産日本一になられました。
ソフトバンクの孫正義さんの逸話などはいうに及ばず、
順風満帆な人生にみえる楽天の三木谷さんも、中学時代に大きな挫折を経験しておられますね。

繰り返しになりますが、人生は常に「波」を描いているので、
「へこみ」がなければ「伸び」もなく、
その「へこみ」の分だけ、その先に「伸び」があるので、
「へこみ」が大したことのない者なら、「伸び」もたいしたものにはならないのです。

なお、こうした人生の「波」というのは、
実は、家系で継承されています。

例えば、安倍元首相は、
二度目はともかく、一度目に総理大臣になった際には、本人の人生において大した挫折なくその座に就かれました。
これはなぜかといえば、父君が「総理目前」で他界するという無念を遺しておられ、
それを継承したから、本人はその「へこみ」をもって伸びることが出来たのです。

その意味で、家系の三代前（祖父母の代）くらいまでに、栄華を極めた人がいて、
その人の恩恵を受けて育ったような人は、どう頑張っても伸びない、ということもいえます。

もっとも、何をもって「栄華を極めた」というのかを判断するのは多少難しさがあります。
というのも、安倍首相の父君である安倍晋太郎氏にしても、見る人が見れば「栄華を極めた」ように見えるかもしれないですよね。

とはいえ、実質的に、「二代続けて活躍する…」というようなことを力技で実現しようとすると、
運が枯渇して破壊的な家系の断絶につながったりするもの。

例えば、安倍晋三元首相の暗殺もそうですし、中川昭一元財務大臣の不審死などもそうで、
神奈川県でいえば、小此木彦三郎元建設大臣のご子息である小此木八郎前国家公安院長の失脚なども、
家系の流れを見ると、「伸び」と「へこみ」のなかで、そういう事態が起こっているのだということが分かります。

話をイーロン・マスク氏に戻せば、
人生のどこかで、真に腹から「世界長者番付一番になる」ということのモチベーションが生まれるほどの経験があれば、
それが実現することもあるだろうし、
その経験がないなら、そもそもそれを真に欲するほどのエネルギーを持たないわけではないわけで、実現しなくて当たり前だろう、というお話です。

その意味で、親がある程度お金をもっている、中流以上の家などに生まれ平和に育ったならば、
なかなかそういう「大きな伸び」につながるモチベーションが生まれにくい、ということです。

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