「喪に服す」のは誰のためか？

このところ、ブログアップを控えていますが、
これは、必ずしも、
悲しみに暮れて生活が立ちいかないとか、
ひどく落ち込んでいるとか、
…そういうわけではありません。

近しい近親者の他界、
取り分け母親のような特別な存在であれば、
たいへんな痛みを伴うには違いないのですが、

日常のなかでは、
断片的に、思い出して笑顔になるとか、
夢に出てきてホッとするとか、
あるいは、
それとはまるで別のところで、悲しんでいる場合ではないほど忙しくなるとか、

…生きて息をしていれば、
そういう「悲しみ」を棚に上げた日常生活というのも厳然としてあって、
「悲しい」といいつつも、日々の生活を生きながら、
多少、「悲しみ」を客観視できるフェーズに向かいつつあります。

とはいえ、「服喪」というのは大事で、
ブログアップを控えているのは、
その「服喪」を意識しているからにほかなりません。

「服喪が大事」などというと、
ひどく宗教的に感じる方がおられるようで、
既に他界しているのだから大して気にしないのでは？
…という指摘をされることもあるのですが、

実は、服喪が大事なのは、
他界した人にとってではなく、
送る側、端的にいえば自分にとって大事なもの。

これは、実際にその立場になってみれば分かるのですが、

亡き人、その思い出に寄り添うために他のことをすべて棚に上げて過ごすこと、
亡き人、その思い出のために心を投じ続けること、
そうやって、ある種、自己犠牲的に過ごすことで、
「自分が救われる」ことができるのです。

これは、実は、葬儀にも同様のことがいえます。

昨今は、簡易にして簡素な葬儀が増えているそうですが、
服喪と同様に、葬儀というのも、
亡き人、その思い出に寄り添って、思いやりを込め、
自己犠牲的なくらいに徹底的に、最高のものにすること、
それは、亡き人のためではなく、送る側が悔いを残さないために大事なのだと思います。

今回、母の葬儀は家族葬ではなく一般葬で行い、
盛花も弔電もお香典も辞退することなくいただきながら、
その年齢の主婦にしてはかなり華やかにして壮大な通夜・葬儀をもって母を送ったのですが、

私たち家族が「良い葬儀が出来た」ことで満足しただけでなく、
何人かの方に、「こうして送る機会をつくってくれてありがとう」といわれ、
なるほど、葬儀というのは、残された人のためにするものなのだな、ということをひしひしと感じ、
服喪というのも、悲しみを後に残さないために必要なプロセスなのだろうと思い至った次第。

ちなみに、
身近な人の突然の死や、
平均年齢よりも若くして死というのは、
ときに「残念」とか「悔しい」とか、そんなふうにネガティブな印象を与えがちなのですが、

その人物の「死」の意味を決めるのは、
実は、その「死」を受け止めた、残された人がその後、どう生きるか？
…というそれで、

つまり、母の死が有意義なものとなるかどうかは、
残された弟と私が今後、どう生きるか？
そして、その先に何を成し遂げるか？
…に、かかっているのだといえます。

「家系」というのは、そうやって逞しく発展していく。

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